最近「電気の余剰買取」の買取価格が減ってきているという噂を耳にすることが多いです。
というかこれ、真実であり、政府は段階的に「電気の余剰買取」価格を年度ごとに減少させています。
なので、「太陽光で自家発電して電気を売って儲けよう!」と思っている場合は、まずやめておいた方が無難です。
じゃあ「電気の余剰買取」なんて、今後は意味がなくりそうだし太陽光を設置するなんてもってのほかですね!!と考えるにはまだ早いです^^!
こうした政府による「電気の余剰買取」制度のあれこれを、日本国内の原発問題や中東から輸入してくる原油価格なども含めてまとめてみましたので、是非とも参考にしてみてください。
目次
太陽光 蓄電池|余剰買取とは?
2009年に政府が発表した「余剰電力の固定価格買取制度」。
これは、太陽光発電などにより余った一般家庭での電力を、国が定める価格で、電力会社は一定期間(10年間)買い取ることを義務付けた制度です。
2012年には内容を一部改訂し、新たに「FIT法」として移行していきました。
◆太陽光など再生可能エネルギーを普及させるため
◆これによりCO2排出を減らし地球温暖化対策とするため
◆価格高騰が予想される石油資源の依存度を減らすため
↑このような目的のもと、「太陽光をバンバン普及させて目標を達成しよう!」といった意気込みから、まずは民間へお金を出し人々の注目を集めるために作られた制度なのです。
これに伴い「蓄電池」にも注目が集まりました。
太陽からつくった電力を自宅で使いながら、その時使い切れない余剰分はそのまま電力会社へ買い取ってもらう流れが主流ですが、太陽光がつくりだす電力パワーは凄まじく、それでも電力が余ります。
太陽光だけでなく蓄電池も一緒に設置することで、そうした電力を今度は蓄電池に蓄えさせることで、太陽が沈んでからも一定時間は電力会社から電気を買わずに、蓄電池に溜めておいた電力で家電を使うことが可能なわけです。
太陽光 蓄電池|売電の買取価格は?
太陽光と蓄電池により、太陽からつくられた電力を「自宅で使えるわ電力会社に売電(売ること)も出来るわ」で、いい事づくしのこの法律。
しかしながら、国が決めた「買取価格」は年々減少しているのです。
(引用:太陽光発電の2019年問題と蓄電池を徹底解説/著:坂本哲平)
↑こちらの表の真ん中の列にある「住宅用」というのが、自宅でつくった電気の買取価格です。
2010年には「10年間48円」で買い取ってもらえたものが、2019年には「10年間24円」になっています。
約10年間で、買い取ってもらえる価格が半分になっているのです。
この制度、初見だとちょっとわかりにくいので、簡単にいうと・・
- 2010年に電力会社に買い取りをお願いし始めた家庭は、2020年までの10年間、1Kwhを48円で売電することが出来る
- 2019年に電力会社に買い取りをお願いし始めた家庭は、2029年までの10年間、1Kwhを24円で売電することが出来る
と、こんな感じです。
要するに、電力会社に買い取りをお願いし始める時期によって、それから10年間いくらで売電できるかの価格が変わっていきます。
なぜならば、その当時は今よりも太陽光パネルは高かったですし性能も低かったことが挙げられます!
もし今現在の太陽光パネルで、当時の買取価格であれば、儲けることができたでしょう!
太陽光 蓄電池|買取が抑制される?
蓄電池の価格が下がっていき、一般家庭でも徐々に普及し始めた理由にはいくつかあります。
そのひとつにあるのは「太陽光 蓄電池 ピークカット」の関係。
ニュアンスだけをお伝えするため、かなりはしょってご説明すると、
太陽光を高い価格で売電するためにはいち早く売電の申請をする必要があります。そうした中、FIT法が始まった当初に太陽光を設置した人たちは「あれ?これ追加で太陽光積めば、売電申請した当時の価格でさらに電力売れんじゃね?!」と気づいたわけです。
そして太陽光を増設する人たちが増えていく中で、今度は国の方が気づいたのです。「あれ?当初契約した高い買取価格で増設した太陽光の電力分も売電してきてねーか?!」と。
こうなると国は抑制に動きます。
「ちょっと!増設した太陽光分の電力は買い取らないから!」
このことを「ピークカット」といいます。
せっかく太陽光がつくった余剰を超えた余剰分の電力がピークカットされていくのを、ただ呆然と眺めている太陽光パネル設置者たち・・
なんとも哀れな・・
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人たちではないのです!
彼らはそのピークカットされた電力を無駄にしないため「蓄電池」を装備しました。こうすることで、ピークカットされた分の電力も、太陽が沈んだ後の夜に使えるようになり、余すことなく太陽光の恩恵を享受できるようになったのです。
ニッポンのもったいない文化ここにあり!ですね^^;
感のいいあなたはお気づきかと思いますが、「それだったら蓄電池に溜めた電力も電力会社に売っちゃえば儲かるんじゃね?!」と。
ですが、太陽光で蓄電池に溜めた電力を電力会社に送りつけることを「逆潮流」と言い、残念ながらこの行為は認められていないのです・・。
太陽光 蓄電池|申請はどこにする?
日本は「申請主義」、ということで、太陽光で発電した電力を売電するためには申請が必須です。
- ①管轄の経済産業局に「必要書類+添付書類」を提出
- ②認定通知書が申請者に届く
※資源エネルギー庁HPでは「申請」から「認定通知書」が届くまで3ヶ月程度と記載があります。(目安です)
とはいえ、これらを我々がやる必要はどんな場合でもほぼ無いと言えます。
なぜなら、ハウスメーカーで家を建てる際に一緒の太陽光を設置する場合は、そのハウスメーカーの営業マンが代理で申請してくれるのが一般的で、こちらは言われた通りの書類にサインして必要書類を用意すればいいからです。
(管理人がそうでした^^;)
また、既存の家に太陽光を設置する場合でも、お願いした太陽光メーカーの営業マンが代理で申請してくれるのが一般的。
ということで、設置する側の我々家主としては、申請についてそこまで意識する必要はないのです。
太陽光 蓄電池|もはや屋根は土地?無料屋根貸しで稼ぐ
近頃では、使わない土地を「駐車場」業者に貸し出して、土地を貸す代わりに「貸し出し賃料」を業者からもらうというシステムは当たり前のこことなっています。
そのおかげで、都内だけでも駐車場の数は半端ないです・・。
そんな見慣れた光景ですが、今後は自宅の「屋根」も「土地」ように貸し出す時代が到来する可能性があります。
太陽光では有名な株式会社グッドフェローズという企業さんが、一般家庭から「屋根」を借り、そこに太陽光を設置させてもらい売電し、売上をあげるというビジネスモデルを既に展開しているのです。
屋根を貸した家主は、毎月「屋根がし賃料」として収入を得ることができます。
もちろん設置にかかる費用負担はすべて業者持ちです。
太陽光 蓄電池|実際に設置に踏み切った管理人の所感
昔から官僚や政治家が色々な問題を起こすたび、「またかよ!」と思っていましたが、この余剰電力の固定価格買取制度(FIT法)といい、なんだかんだで日本の未来を考えている人たちがいることは日本人でよかったと思える一幕です。
冒頭でもお話しましたが、国がこの制度をつくった目的には、
◆太陽光など再生可能エネルギーを普及させるため
◆これによりCO2排出を減らし地球温暖化対策とするため
◆価格高騰が予想される石油資源の依存度を減らすため
といったものが挙げられます。
管理人が一番着目してたのは、「価格高騰が予想される石油資源の依存度を減らすため」という点。
日本はかねてより「天然資源」に恵まれない国といわれています。
その分、技術力が優れているのでたくさんの原子力発電所をつくり、電力などのエネルギーを技術で補ってきましたが、東日本大震災以降の原発事故により、10年近く経った現在でもほとんどの原発は停止しているのです。
その代わり、火力発電に逆戻りしていますが、こちらは地球温暖化に寄与してしまうとともに、コストもかかり効率も悪い現実があります。
また、火力発電は石油を使うことで電力を生み出すことが出来るのですが、石油の元となる原油のほとんどを中東から船に乗せて日本にまで持ってきます。
↑赤いピンの印がある中東のホルムズ海峡を通り、長い航海を経て、ようやく日本に入ってくるのです。
政治的・軍事的な話になってきますが、中東のホルムズ海峡付近は海賊が多く、日本船など特に攻撃の対象になりがちなので、米軍が護衛するような形で日本の石油会社は命がけで石油を運んで来てくれています。
要するに、世界情勢が少し変化するだけで、いつ石油を乗せた日本船が遅延してもおかしくないのです。そうなればすぐに石油価格が跳ね上がり、私たちの電気代に上乗せされるのです^^;
また、「再エネ賦課金」というものをご存知でしょうか?
「再エネ賦課金」とは簡単にいうと、電力会社が一般家庭や発電企業から太陽光を買い取るためにかかる費用を日本国民全員に負担してもらっている制度です。
要するに、太陽光を設置している人もいない人も、一律に「再エネ賦課金」が毎月の電気料金に上乗せされているのです!
電気料金明細をよく見てみると、しれっと差し引かれています・・。
視点を変えると、「どうせ差し引かれるなら太陽光の恩恵受けてた方がマシだな。」と管理人は思うのです。
そして極めつけは、やっぱり「大地震」などの災害時への恐怖。
世情により電気代が値上げされていく可能性が大きいのもありますが、一番は大災害が起こった後に「自宅で過ごすため」に太陽光と蓄電池を設置した気持ちが大きいです。
- 天然資源依存からくる電気代の高騰
- 謎の「再エネ賦課金」という徴収
- 大地震などへの恐怖
これらを鑑みた時に、太陽の光であれば誰に依存することなく一定の電力を自分で確保できる。
もはや「太陽光で小銭稼ぎをする」なんて理由は微塵もありません。
そうした理由から、太陽光と蓄電池の設置に踏み切ったのです。
太陽光と蓄電池の併用設置についての今後を、違う切り口でお話している記事もありますので、是非ともみてみてください↓↓
【関連記事】太陽光と蓄電池とは?併用が今後の主流に?政府発表の見解踏まえて解説!>>
※ちなみに太陽光や蓄電池メーカーはたくさんあり、中には「低圧蓄電池で全量買取!」など、こちらがその意味を飲み込めない・・けどなんだか儲かりそうなセリフで近づいてくる業者もあるので注意が必要です。
まとめ
- 2009年に国は「電力買い取り制度」を始めた
- それにより太陽光を設置する人たちが急増した
- 買取制度を始めた理由は、
◆太陽光など再生可能エネルギーを普及させるため
◆これによりCO2排出を減らし地球温暖化対策とするため
◆価格高騰が予想される石油資源の依存度を減らすため
- 太陽光でつくった電力を余すところなく使うため「蓄電池」も普及し始めた
- 国は電力の買取価格を毎年下げている
- しかしながら今の時代は「太陽光でつくった電力を売って小銭稼ぎをする時代」ではなく、「太陽光でつくった電力を蓄電し電気代を下げたり、来たるべき大災害に備える」時代になっている
太陽光や蓄電池を、今買えばどのくらい売電してもらえるのかも気になるところです。以下の記事でまとめていますので、是非とも参考にしてみてください↓↓